育休から復帰したら時短勤務したい!
時短勤務で給料は下がる?
残業や夜勤は免除される?
この記事を読むと、看護師が時短勤務する上で注意すべきポイントがわかります。
筆者は看護師歴10年の中堅看護師です。
2021年に長女を出産し、現在は育児休業を取得しています。
自分が直面する問題として、疑問を持った部分をまとめました。
この記事を読むことで、仕事と子育ての両立を考えるための基礎知識が身に付きます。
時短勤務制度とは?
育児・介護支援などを目的として、1日の勤務時間を通常よりも短縮した働き方です。
事業主は、育児・介護休業法に基づく短時間勤務制度を整備する義務があります。
事業主は、3歳未満の子を養育する労働者について、労働者が希望すれば利用できる短時間勤務制度(1日原則6時間)を設けなければなりません。
参照:
厚生労働省看護師・介護士・保育士のを対象とした「短時間制社員制度」の導入・運用のポイント集point.pdf (mhlw.go.jp)
つまり、育休から復帰する看護師は、希望をすれば時短勤務をができる権利を持っています。
しかし、平成27年度の利用状況は、女性29.2%、男性0.5%と、利用が進んでいませんでした。※1)
現在はもう少し向上しているかと思われますが、制度の普及に課題があるといえます。
時短勤務制度の対象者は?
- 3歳未満の子を養育している
- 1年以上同じ事業主に雇用されている
- 日雇い労働ではない
- 1日の所定労働時間が6時間超
- 週の所定労働日数が3日以上
上記の条件を満たしていれば、パート・アルバイトや契約社員でも利用することができます。
勤務時間は?
労働基準法で規定されている所定労働時間は8時間です。
育児・介護休業法では、勤務時間を原則6時間に短縮することができます。
ちなみに、休憩時間は45分以上与えることが法律で義務付けられています。
給料はどうなる?
結論から言うと、育休前の給料と比較して25%以上減額します。
原則として、事業主は時短部分の賃金を支払う義務はないとされています。
時短勤務の給料には3つの特徴があります。
①月例給与のうち基本給は、同じ職種・職位のフルタイム正社員への支給額を、労働時間に比例して支給されます。
つまり、6時間勤務に変わった場合は、フルタイム正社員の基本給から25%減額します。
たとえば出産前の基本給が20万円の場合、時短勤務では15万円が基本給となります。
さらに、基本給から社会保険料等が引かれた額が手取りになります。
②その他の諸手当については、手当の趣旨や支給基準を踏まえ、短時間制社員に対する支給額も検討
③賞与については、フルタイム正社員と同じ基準で支給される
つまり、ボーナスなどの賞与も労働時間に比例して少なくなることがあります。
職場の就業規則に明記されているので、確認しましょう。
注意すべき点は、社会保険料は、届け出により減額することができる点です。
社会保険料は、出産前の給与をもとに計算されます。
育休復帰の時期によっては、給料のみ下がって保険料はそのままという事態に陥ってしまうのです。
育児休業から復職後そのまま時短勤務をする場合に限り、手続きをすれば社会保険料の負担軽減ができます。
手続きは以下の2点
- 育児休業終了時報酬月額変更届の提出:社会保険料の減額
- 厚生年金保険料養育期間標準報酬月額特例申出書の提出:年金受給額の維持
手続きをすると育児休業が終わった日の翌日の月から3か月の給与をもとに、社会保険料を改定することができます。
つまり、復帰後4か月目からは社会保険料を安くすることが可能です。
手続きをしなければ社会保険料は減額されないので、知識を持っておくことが大切です。
時短勤務制度の期間は?
子育てを目的とする時短勤務の対象には、「3歳未満の子供を養育する労働者」という条件があります。
つまり、子どもの3歳の誕生日の前日までが時短勤務の対象期間ということになります。
職場によって「子供が小学校に上がるまで」など、独自に期間を設けている場合があります。
就業規則に明記されているので、確認してみましょう。
延長は可能?
時短勤務の延長を希望すると、可能となる場合があります。
育児・介護休業法において、3歳以上の未就学児を養育する労働者に対して短時間勤務制度を講ずることは、事業主の「努力義務」としています。
残念ながら法的な強制力はなく、確実に延長できるとはいえません。
「小学校就学前は育児のために時短勤務を延長したい!」という方は、職場に相談してみましょう。
残業、夜勤は免除される?
残念ながら、残業は免除されません。
1か月あたり24時間、1年を通して150時間を超える時間外労働をさせてはならない、とされています。
言い換えると、「1日あたり1.2時間残業しても違法ではない」ということになります。
しかし、時短勤務の趣旨から考えると、望ましくありません。
普通の職場であれば、時短勤務者は定時で帰宅するように配慮すべきです。
夜勤は、免除が可能です。
育児・介護休業法では、小学校就学前の子を養育する労働者が請求する場合は、午後10時~午前5時において労働させてはならない※2とされています。
ただし、一定の労働者は対象外となってしまうので注意しましょう。
【対象外となる労働者】
- 勤続年数が1年未満
- 深夜においてその子を常態として保育・介護できる同居の家族がいる
確認すべき就業規則3選
- 時短勤務の待遇:賃金、福利厚生
- 時短勤務を利用できる期間
- 時短勤務の延長可否:明記されていない場合は職場に確認
まとめ
時短勤務の制度が理解できたら、復帰後の働き方を考えてみましょう。
職場に時短勤務をしている知り合いがいたら、実際に時短勤務として働く職場の雰囲気を聞くとより想像しやすいです。
育児休暇をとると、出産前と異なる働き方をしたいと考える人も少なくありません。
自身が望んだ形で、子育てと看護師を両立し楽しめるように、制度を上手に活用しましょう。
また、職場の就業規則をぜひ一度確認してみてください。
制度を利用する立場になってみると、「そうだったのか・・」と初めて発覚することもあるかもしれません。
確認した上で、もし、望んだ形で働くことが難しいのであれば、職場を変える選択肢を検討しても良いかもしれません。
看護師は働き方の種類が選択しやすい資格です。
どこでも働けますし、どのような形でも働けます。
より良い看護師人生が送れるように、これからも一緒に考えていきましょう。
(参考文献)
※1)厚生労働省.“両立支援制度と利用状況”Microsoft PowerPoint – 10月15日参考資料 (mhlw.go.jp)2022-03-20.
※2)厚生労働省“5. 家族的責任を有する労働者への配慮について|厚生労働省 (mhlw.go.jp)”2022-03-20.
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